令和9年度科研費の変更点一覧【令和8年度との比較】
変更点 | 変更項目 | 令和8年度まで | 令和9年度から |
|---|
1 | 萌芽と基盤Cの重複制限 | 原則として重複不可 | 39歳以下は重複応募・受給可能 |
2 | 開拓の審査方式 | 総合審査 | 2段階書面審査 |
3 | 萌芽から開拓への接続 | 通常の応募 | 前年度応募や発展性の確認を導入 |
4 | 若手支援強化枠 | 約1,000件を設定 | 令和9年度も適用予定 |
5 | 学術的「問い」 | 専用欄なし | 任意のWeb入力・採択後公開 |
変更点1|39歳以下は「挑戦的研究(萌芽)」と「基盤研究(C)」の重複応募・受給が可能に
令和9年度の科研費申請では、若手研究者の積極的な応募を促すために、若手研究者に限定して、挑戦的研究(萌芽)と基盤研究(C)に重複して応募・受給できるようになりました。ただし、対象となる若手研究者の基準や、記載内容には注意が必要です。
対象となる「若手研究者」の年齢基準
採択年度の4月1日時点で39歳以下である必要があります。採択年度の4月1日時点であり、応募時点の年齢ではないことに注意が必要です。つまり、令和9年度公募では、2027年4月1日現在で39歳以下の研究者を対象に、「挑戦的研究(萌芽)」と「基盤研究(C)」の重複応募・重複受給制限が緩和されます。

研究内容の違いとエフォートの説明が必要
挑戦的研究(萌芽)と基盤研究Cに重複応募する場合、種目の目的が異なるため、記載内容も変える必要があります。具体的には、基盤研究(C)では学術的な問い、国内外の研究動向における位置付け、具体的な方法、経費との整合性、準備状況、遂行能力・研究環境、国際性が評価されます。一方で、挑戦的研究(萌芽)では、学術体系を変革・転換する潜在性、幅広いインパクト、着想に至る背景の合理性、挑戦的な課題設定が重視されます。学術的な「問い」の立て方や、研究の後の展開を種目の目的に合わせて変更する必要があります。
変更点2|挑戦的研究(開拓)の審査方式が「2段階書面審査」に変更
令和8年度までの「総合審査」との違い
令和8年度までの挑戦的研究(開拓)の審査方式は総合審査でしたが、令和9年度からは2段階書面審査に変更となりました。総合審査の場合は、2段階目に複数の審査委員による合議審査が実施されますが、2段階書面審査の場合は、審査委員間での合議はなく、2段階目も審査委員個人による審査が行われます。
総合審査と2段階書面審査は、2回目の審査が合議か審査委員個人の書面審査かという点で異なる申請書にはどのような影響があるか
合議審査がなくなることで、合議の場で審査委員間の認識が補われることがなくなります。そのため、研究の挑戦性、学術的意義、研究計画の妥当性を申請書内で誰が読んでも伝わる構成にする重要性が高まります。
変更点3|挑戦的研究(萌芽)から(開拓)への接続を強化
過去の挑戦的研究(萌芽)の研究成果を踏まえて、挑戦的研究(開拓)にステップアップすることを明確に示すために以下の3項目で変更がありました。
3年間の萌芽課題に「研究計画最終年度前年度応募」を導入
研究期間が3年間で採択された挑戦的研究(萌芽)課題について、最終年度前年度に挑戦的研究(開拓)に新たに応募することができる制度が導入されました。
萌芽から開拓への接続に関する記述å参考:日本学術振興会「科学研究費助成事業(科研費)の令和9(2027)年度公募について」
https://www.youtube.com/watch?v=1h9bQviCrW4
過去の萌芽から発展させる場合の記載事項が追加
過去または実施中の萌芽課題を発展させるの記述が追加されたことで、研究計画書内に過去の萌芽の研究成果と飛躍的な発展を記載する必要が発生しました。
赤字部分が追加された項目参考:挑戦的研究(開拓)の研究計画調書の様式(Wordファイル)
https://www.jsps.go.jp/file/storage/kaken_kiban_2026_g_4978/s-41-2.docx
開拓の評定要素に「過去の萌芽からの発展性」が追加
該当課題について、挑戦的研究(萌芽)で何が明らかになったのか、明らかになったことをどのように飛躍させていくのかを明確に記述する必要があります。公式YouTubeチャンネルの動画(参考)にて公表されていた評定要素を抜粋しました。
(3)過去の挑戦的研究(萌芽)からの発展性(該当する応募課題のみ)
- 挑戦的研究(萌芽)において過去に採択された研究課題をさらに発展させる研究計画、若しくは研究計画最終年度前年度応募を行う研究計画については、発展・飛躍的な展開を図る部分が十分に挑戦的な内容になっているか。
参考:日本学術振興会「科学研究費助成事業(科研費)の令和9(2027)年度公募について」
https://www.youtube.com/watch?v=1h9bQviCrW4
変更点4|挑戦的研究(萌芽)の「若手支援強化枠」は令和9年度も適用予定
令和8(2026)年度に、キャリア早期から振興・融合領域に繋がり得る研究に取り組む若手研究者を支援する観点から設けられた1,000件程度の「若手支援強化枠」を令和9(2027)年度公募においても、予算や応募状況を踏まえて適用する予定ということが発表されました。
変更点5|学術的「問い」のWeb入力欄が新設
学術的「問い」の共有を通じた研究者間の新たな交流・連携やネットワーク構築のきっかけ作りを目的として、学術的「問い」に関するWeb入力が可能(任意)となりました。入力内容は、採択後に科学研究費助成事業データベース(KAKEN)上で公開されます(不採択時は公開されません)。
対象となる研究種目
2026年7月公募から、基盤研究(A・B・C)と若手研究が対象です。基盤研究(S)は2027年4月公募から入力が可能となります。
留意事項
- 入力は任意
- 研究計画調書のPDFには出力されない
- 審査には使用されない
- 採択課題のみ公開される(不採択の場合は公開されません)
- 入力内容がそのまま公開される
- 全角500字、半角1,000字以内
公開を前提とした文章になるため、未公開データや知的財産、共同研究先の機密情報を書かないように注意してください。
あわせて確認|公募要領に「挑戦性」を有する研究の例が追加
制度そのものの変更ではございませんが、挑戦性を有する研究例が公募要領に追加されました(参考)ので、挑戦的研究(萌芽・開拓)に申請される研究者の方は例を参考に挑戦性を含む研究計画調書を作成しましょう。
<対象となる「挑戦性」を有する研究の例>
- 斬新な発想に基づき、人々の好奇心を掻き立てるような研究
- 新しい原理や学理の発見に繋がる可能性を有する研究
- 学術の概念や体系の見直しに繋がる可能性を有する研究
- 大きな発想の転換や斬新な方法論等の導入に繋がる可能性を有する研究
- 既存の学問分野の枠に収まらない新興・融合領域の創成に繋がる可能性を有する研究
参考:日本学術振興会「令和9(2027)年度 科学研究費助成事業 公募要領」
https://www.jsps.go.jp/file/storage/kaken_kiban_2026_g_4978/r9_7_kobo.pdf
令和9年度科研費の変更点に関するよくある質問
FAQは検索流入とFAQ構造化データを意識して、次の質問を置きます。
Q. 39歳以下であれば、挑戦的研究(萌芽)と基盤研究(C)の両方に応募は可能でしょうか?
A. 39歳以下であれば、挑戦的研究(萌芽)と基盤研究(C)への重複応募が可能です。
Q. 重複応募の要件である39歳以下に関して、年齢は応募日と2027年4月1日のどちらで判断されますか?
A. 応募日時点の年齢ではなく、 採択年度の4月1日時点(令和9年度科研費においては、2027年4月1日)の年齢が39歳以下である必要があります。
Q. 「学術的な問い」の入力は必須ですか?
A. 入力は任意です
Q.「学術的な問い」は科研費の審査に影響しますか?
A. 「学術的な問い」は審査に影響しません。
まとめ|変更点を確認して令和9年度の申請書を準備しよう
令和9年度公募では、若手研究者の応募機会が広がる一方、挑戦的研究(開拓)では審査方式や評価項目、研究計画調書の記載内容が変更されています。前年の申請書や様式をそのまま流用せず、最新の公募要領と作成・記入要領を確認したうえで準備を進めましょう。